著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「がん幹細胞研究」でがんは怖くなくなるのか?

公開日: 更新日:

 がんの治療は進歩を続けています。それでも進行したがんを完全に治すことは、そう簡単なことではありません。一度は全てのがんを切除したと思っていても、再発することがまれではないのです。

 たった1個のがん細胞でも残っていると、そこからがんが成長し再発することがあるからです。がんの組織の中に少しだけ混ざっている、1個でもそこからがんがつくれる細胞を、「がん幹細胞」と呼んでいます。

 全てのがんに幹細胞があるかどうかは分かっていませんが、たとえば大腸がんにはがん幹細胞があって、特別な遺伝子を持っているかどうかで、それを他のがん細胞と区別できることが分かっています。

 それでは、がん幹細胞だけを殺すような治療があれば、他のがん細胞は生きていても、がんは治るのではないでしょうか?

 今年のネイチャーという科学の専門誌にその実験結果が発表されています。特殊な方法でがん幹細胞を全て殺すという実験をしたところ、その周辺の普通のがん細胞が、がん幹細胞に変化して、がんはやはり再発することが分かりました。ただ、転移したがんではそうしたことは起こらず、がん幹細胞がいったん死んでしまうと、もうそのがんが大きくなることはなかったのです。このようにがんを治すことは一筋縄ではいかないのですが、この研究がもっと進めば、手術をしなくてもがんが治る時代になるかも知れません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に