93歳のおばあさんが治療した分だけ長く生きた意味
数日たってもおばあさんは意識がない状態で、小さい痙攣を繰り返しています。心配した孫娘が病室を訪れていたとき、驚くことがありました。中年の女性清掃員の独り言のようなつぶやきが聞こえてきたのです。
「前に入院したときに薬で治療されたから、今こうして苦しんでいるのよね。ほら、前よりも苦しそう。あの時、治療しないであのまま死なせてあげればよかったのに……。お金もかかるし、みんな大変でしょう。かわいそうに、こんなにしてまで生かされて……」
孫娘は、「え!? そんな言われ方をするの?」と心の中で思いながら、黙っていたといいます。ただ、その言葉が強烈に頭に残ったそうです。
孫娘は悩みました。
「おーばっぱは治療せずに亡くなった方がよかったのだろうか。本当にその方が幸せだったのか。意識がない状態の今の方が本当に苦しいのだろうか。考えることもできず、何にもできないおーばっぱが、治療した分だけ長く生きた意味はなかったのか……」
その2日後、お母さんが病院から帰ってくるのを家でひとり待っていたT君から、こんな言葉をかけられました。