「覚悟はできている」と考えていた患者が3カ月の命だと告げられて考えたこと
翌日、A病院を訪ねたRさんは、担当の内科医から採血と胸部X線検査を受けるように指示され、その後でCT検査も行いました。そして、2時間ほど待ってから受けた診察で医師からこう告げられました。
「肺がんです。首のリンパ節と肺の中にも転移があり、手術はできません。来週、入院してもらって、気管支鏡を使った組織検査をしましょう。この検査はがんの確定と、どの種類の抗がん剤を使うかを決めるために大切です」
Rさんは、自分のスマートフォンに「肺がん 手術できない」といったワードを打ち込み、ネット検索してみました。すると、「余命1年」と書かれてあるサイトが目につきました。
「とうとう来たか。俺は1年で死ぬんだな。1年か……」
Rさんの頭の中では「1年」という数字が巡ったといいます。
■「誰だって生きたいのは当たり前」と言われて緊張がほぐれた
入院後に始まった抗がん剤治療ではつらい嘔気が2日ほど続きましたが、それでもRさんは繰り返しがんばりました。しかし、嗄声、咳、痰は良くなりません。2カ月すぎた頃に再びCT検査を行うと、医師から「いまの抗がん剤は効いていないので、治療薬を替えましょう。このスピードでは、もしかしたら3カ月の命かもしれません」と告げられました。