中咽頭がん<2>「口頭で社員に指示ができない経営者などいるものか」
父と実弟は、「生存率が高い1つ目の治療法がいい。声が出なくなっても、何としても生きてほしい!」と切願した。しかし、三枝さんは、「声の出ない人生なんて考えることができませんでした」と言う。
■副作用で体調は日に日に悪化
社員200人を抱える宝飾会社の副社長である。「口頭で社員に指示ができない経営者などいるものか」と、治療法を2つ目の「化学療法併用放射線治療」に懸けることに決めた。
11月24日、入院した初日から点滴で抗がん剤(シスプラチン)を投入。この点滴を3クール(1クールは3週間)続けた。
同時に、月曜日から金曜日までの5日間、時間にして約20分、「強度変調放射線療法」を33回受けた。入院は年を越えた。
正常部位に放射線が当たらないように顔、首を固定し、その周りを機器がぐるぐると回る。
抗がん剤や放射線の副作用で、日に日に体調が悪くなった。困ったのは食事が喉を通らないこと。