急に立ち上がったらバッタリ…夏の低血圧はこんなに怖い
病院で血圧を測ると緊張感から本来の血圧より5~20㎜Hgくらい高くなる人は多い。夏は自宅では血圧が下がり過ぎる可能性がある。寒い時に病院で高血圧と診断された人で、降圧薬を処方された人は家庭での血圧に注意したい。低血圧の自覚症状がなくとも医師と薬の量を相談すべきだ。
浜松医科大学付属病院で6~8月に受診し、「なんとなく体の調子が悪い」と訴えた人を調べたところ、4割が「低血圧」だった。
ひとくちに病的な低血圧といっても、いくつか種類がある。心筋梗塞・心不全や不整脈、肺塞栓、甲状腺機能低下症など原因がはっきりしている症候性、これという原因がない本態性、急に立ち上がったときに起こる起立性などだ。
「とくに注意したいのは起立性低血圧です。寝た姿勢(臥位)から立ち上がった(立位)状態などに体位を変えると、上の血圧が20㎜Hg以上も下降する病気です。座った状態での血圧は正常でも体位を変えると血圧が大きく変動する人は気をつけなければなりません」
健康な人は、立ち上がったときに脳へ向かう血管(頚動脈)の血流は一瞬減る。それを頚動脈洞にあるセンサーが感知し、その信号を自律神経を介して脳へ伝え、脳が反射的に心臓に指令を出して心拍数を上げる。その一方で、下がりはじめた血液を食い止めるため脳が下半身の末梢血管に収縮するように指示を出す。この2つの働きのおかげで脳が虚血状態にならないようにしている。