<15>介護疲労がたまりにたまり常識人の母が暴言を吐いて…
というのも、介護疲労がたまっていたからである。夜中に何度も起きてトイレに行く父を介助し、朝は尿で汚れた衣類と寝具とポータブルトイレを洗い、3度の食事を作り、風呂に入れて体を洗って着替えさせ、入所時に持ち込む生活用品を揃え、衣類に名札を縫い付け……。もし私だったら酒でも飲まないとやってられないと思う。
母は悪くない。暴言には仰天したが、ストレスをためない「認知症との付き合い方」を心得ればいいだけの話。
良書があったので、さりげなく母にすすめた。右馬埜節子著「認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ」だ。母もこれを読んで、己の凶行を反省したようだ。
父の16日間自宅ステイは、母に「在宅介護は無理」という諦観をもたらした。罪悪感を払拭し、覚悟を決めたように見えたのだが、これ、実は根がとても深い問題だったので、またの機会に書こう。