CKDは放っておくと人工透析前に心筋梗塞や脳卒中で死ぬ
CKDが進めば、腎臓本来の働きが失われるだけではない。CKDが軽度であっても、心臓病や脳卒中といった心血管イベントを起こすリスクが倍増する。
例えば、eGFR値を使った研究で、3a期では3.65件に過ぎなかった100人当たりの年間心血管イベント発症件数が、3b期には11・29件となり、4期だと21.80件、末期の5期だと36.60件に跳ね上がることが報告されている。
「従来は慢性腎臓病になると、最終的に腎不全となり人工透析になるというのが、一般的な図式でした。ところが近年、CKDの患者さんは初期の腎機能低下の段階から心臓や脳の病気を発症するリスクばかりか、3b~5期は全死亡、脳、心血管疾患による死亡リスクが高くなるのです」
実際、腎機能低下とタンパク尿を合併している場合、男性で2倍、女性では4倍も心筋梗塞や脳卒中で亡くなるという研究報告もあるのだ。