医師が終末を宣告。しかし気力、生活に変化は少しもない
日本酒と生薬によるマッサージは、どちらも以前、取材で知った。これでがんを克服した例を私は知らないが、その効き目を実感していた。日本酒マッサージを有名にしたのは、プロ野球・中日ドラゴンズの谷沢健一選手。アキレス腱痛に苦しみ、引退を覚悟していた時に出合い、その後、彼は完全復帰。再び首位打者になった。
日本酒にはアミノ酸やペプチド、有機酸、酵母菌、ミネラルなど約100種類もの成分が含まれている。日本酒を患部に塗り、指圧でゆっくりとこすり続け、患部の毒素を出す。生薬マッサージは、生薬のみの入浴剤を浴槽に入れ、入浴しながら生薬の入ったパックの入浴剤を患部にすり込みマッサージする。代謝が良くなり、免疫力はアップする。多くの医師は代替療法を“科学的根拠がない”と最も嫌う。
医師からは退院当日、「終末期に入ってる」と言われた。
「最期をどのように迎えるのか、どうするのか考えておくといい」
そして、医師は嚥下(えんげ)テストをした。コップ1杯の水を飲めと。入るわけがなく、医師と看護師の前でむせて吹き散らした。医師は「栄養が取れるよう処方箋を出しときます」。それは「エンシュアH」というタンパク質を主体とした缶入りの液状の栄養剤だった。看護師ですら「飲めないのでしょう」と言うのに、だ。さらに医師は言った。