ケジラミ症<1>陰毛の直接接触で人にだけ寄生する吸血昆虫
人の頭髪に寄生するアタマジラミや衣類に寄生するコロモジラミの体長は2~4ミリだが、陰毛に寄生するケジラミはそれより小さく、1ミリ前後。1日数回吸血した血液を栄養分として成長し、成虫の生存期間は3~4週間、その間に30~40個の卵を産む。卵は親が分泌するセメント様物質で陰毛に固定され、7日前後で孵化(ふか)する。
症状は、寄生している陰部のかゆみだけだが、必ずしも感染者のすべてにかゆみが出るわけではないという。
「かゆみの原因は、蚊と同じようにケジラミが吸血する際に唾液成分が注入され、それに対する免疫反応です。ただし、かゆみの程度は個人差が大きく、数匹でも激しいかゆみを感じる人もいれば、多数いてもかゆくない人もいます。激しいかゆみの出たAさんはいいほうで、かゆくない人はケジラミがどんどん増えても気づかず、他人にうつしてしまうのです」
毛布などの寝具やタオルを介した感染もあるが、ほとんどは陰毛の直接接触による感染だ。それは、ケジラミは人から離れると条件が良くても48時間以内に死んでしまうから。しかも、1日に10センチ程度しか歩行できないという。