ケジラミ症<1>陰毛の直接接触で人にだけ寄生する吸血昆虫
サラリーマンのAさんは、昨年の夏、股間に激しい“かゆみ”を感じた。とっさに思い浮かんだのが「インキンタムシ」。ネットで調べてみると、股間に感染する水虫(股部白癬=はくせん)とある。そこで、薬局へ行き、水虫・タムシ治療薬を買ってきて数日間塗ってみた。
ところが、一向に良くならない。再びネットで「股間のかゆみ」「原因」と検索。すると、インキンタムシ以外に、性感染症の「ケジラミ症」が挙げられていた。思い返してみれば、2カ月前に海外旅行へ行った時に風俗遊びをしている。そこで、かゆみの強いペニスの周りをまじまじと観察してみてビックリ。陰毛に得体の知れない小さな物体がたくさん付着している。怖くなって、急いで性病科を受診した。
ケジラミ症について、性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長が説明する。
「ケジラミは人にだけ寄生するシラミ(吸血性昆虫)の一種で、Aさんが発見したのは陰毛の根元近くに産み付けられた卵です。ケジラミはカニのような大きな爪を持っていて、左右の爪で陰毛をがっちり掴んで寄生しています。虫体は肌色に近く、血を吸った状態なら茶褐色になり目視で確認できますが、血を吸っていない時は見つけにくくなります」