ステロイドが増えて血糖値が上昇 脱毛治療薬で糖尿病に?
髪の毛が薄くなって悩んでいる男性用の飲み薬として、「フィナステリド」(一般名、商品名プロペシア)と「デュタステリド」(一般名、商品名ザガーロ)の2種類が、お医者さんで使われています。この薬は男性ホルモンであるテストステロンが、より強力なジヒドロテストステロンになるのを妨害する作用があります。男性ホルモンは前立腺を大きくする働きがあるので、前立腺肥大症の治療薬として使われます。そしてもう一つ、男性ホルモンは脱毛の原因となるので、薄毛の薬としても使われているのです。
この薬は主に前立腺や皮膚に効果があるのですが、それ以外に肝臓や脂肪などにも作用することが分かっています。そして肝臓や脂肪に働くと、テストステロン以外のステロイドホルモンが分解するのを抑え、結果としてステロイドが体にたままりやすくなることが想定されます。
このことで体に何か問題はないのでしょうか? ステロイドが増えることで、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効き目が悪くなる可能性が指摘されています。
今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に載った疫学調査のデータでは、脱毛治療薬を前立腺肥大症の治療目的で飲んでいる人は、それ以外の薬を飲んでいる人と比較して、約30%糖尿病になりやすい、という影響が認められました。
脱毛治療薬を使っている人は、血糖値にも気を配る必要がありそうです。