著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

大腸がん<8>治療の進歩で5年生存率はどれだけ改善されたか

公開日: 更新日:

 大腸がんの治療の進歩によって「5年生存率」は、どのくらい改善されたのでしょうか。

 分かっているのは①2000~04年症例(この間に大腸がんと診断された患者)と②09~10年症例の数字です。それらを〈表〉にまとめました。③12年症例の3年生存率も参考までに載せておきました。

 治療ガイドラインの初版が出たのは05年ですから、①の患者はガイドライン以前の治療を受けていたことになります。

 09年には第2版、10年には第3版が出て、特に術後補助化学療法を含む薬物療法(抗がん剤)の整備が一気に進みました。②のステージⅢやⅣの患者は①より進んだ薬物療法を受けた人たちです。

 ステージⅠを比べると、5年生存率が3・8ポイント、Ⅱでも3・3ポイントの改善が見られます。ただしどちらも、原則として術後補助化学療法の対象ではありません。この間の手術の進歩などが寄与しているのかもしれません。

 周辺のリンパ節に転移がある段階のステージⅢに関しては、①はⅢaとⅢbに分割した数字が公表されています。Ⅲaは転移が1~2カ所、Ⅲbはもっと多くの転移が見られる状態です。データをもとにステージⅢ全体の5年生存率を計算し直すと、72%となります。したがって①と②を比較すると、4・5ポイントの改善となります。術後補助化学療法が寄与したのかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」