食後の歯磨きを欠かさない人は心臓病になりにくい?
食後の歯磨きを欠かさないことは健康的な生活習慣というイメージがあります。口腔内の衛生状態と、心房細動および心不全の関連性を検討した研究論文が、欧州心臓病学会が発行している予防医学の専門誌に、2019年12月1日付で掲載されました。
心房細動とは不整脈の一種で、心臓本来の動きができなくなる病気です。将来的に脳卒中を発症するリスクが高まるため、場合によっては薬物治療が必要になることもあります。また、心不全とは心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなった状態のことです。
この研究では韓国に在住しており、心臓病を発症した経験のない16万1286人(平均52・2歳)が対象となっています。被験者に対して歯周病の有無、歯磨きの回数、抜けた歯の本数などを調査し、心房細動と心不全の発症リスクが検討されました。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、性別、社会経済的状況、飲酒・喫煙状況などの因子について統計的に補正を行い、解析しています。
中央値で10・5年にわたる追跡調査の結果、1日の歯磨きの頻度が0~1回の人と比べて、3回以上の人では、心房細動のリスクが10%、心不全のリスクが12%、統計学的にも有意に低下しました。