なぜ「基本再生産数」と「致死率」が注目されるのか?
ちなみに米国ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、4月21日時点で韓国の致死率は2・2%だ。
これに従えば、各国の致死率はおおむね妥当な数字ということになる。
ところがここにきて新型コロナの致死率はもっと低いのではないか、との声が上がっているという。新型コロナウイルスは致死率が約10%のSARS(重症急性呼吸器症候群)のイメージが強く、致死率が高いという前提で考えられたのではないかというのだ。
実際、ダイヤモンド・プリンセス号では、感染者712人に対し、死亡13人(致死率1・8%)。しかも乗客の大半が高齢者だった。また韓国でも、検査は希望者や濃厚接触者しか行わない。そのため、無症状感染者を大量に見落としていて見かけの数字が高くなっている可能性がある。
「最近の論文では、真の致死率は1%前後ではないか、という見解が増えています。なかには0・3%という、かなり低い数字を提案している論文もあるのです」
イタリアやスペインの致死率は10%を超えているが、それは医療崩壊が進んだ結果、重症患者や重篤患者しか検査が行われておらず、見かけ上は高くなったからではないか。仮に致死率が0・3%とすれば、死者が2・4万人のイタリアでは800万人が感染したことになる。新規の感染者が減少し続けていることと考え合わせると、イタリアは集団免疫を獲得しピークを過ぎたともいえる。