著者のコラム一覧
東丸貴信東邦大学名誉教授、平成横浜病院健診センター長

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

血管への後遺症「ドイツでは回復者の6割以上に心臓の異常」

公開日: 更新日:

 血栓後症候群では、静脈高血圧のため下肢の浮腫だけでなく皮膚表在静脈に静脈瘤が出来たり、色素が沈着、皮膚炎や湿疹を起こしやすくなったり、難治性潰瘍が出来たりすることもある。造影CT検査などによる肺炎と肺血栓塞栓症の正確な診断と慎重な経過観察が必要であろう。2カ月以内に回復しない場合、後遺症は長期間残る可能性が高いので、適切な治療をしなければならない。

 脳梗塞運動神経麻痺や認知機能障害などの後遺症が残れば、リハビリで治療するしかないが、再発リスクはほとんどない。しかし、3割程度の人に何らかの脳神経症状が残存していると推測されているので、このウイルスによる慢性の脳炎や神経炎なども加味した経過観察をしなければならない。

 急性心筋梗塞の後遺症は虚血、心機能低下や不整脈であり、動いたときに動悸息切れや胸痛などを感じる。動脈硬化性のものと異なり、責任冠動脈以外の血管が狭くなって虚血や再梗塞が起こることはない。適切な内服治療で心不全予防を行えば、普通の心筋梗塞より予後は良いと考えられる。ただ、心筋炎が慢性化して持続する可能性は残されており、ごく最近のドイツの報告では感染回復者の6割に心筋炎がみられたとのことである。このような場合は、心電図や心臓超音波検査だけでなく、炎症マーカー、トロポニンやBNP等の血液検査で心筋炎の経過を定期的にチェックする必要があろう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末