親の傾聴と共感が「8050問題」の解決につながる 専門家が指摘
傾聴とは、相手の話にただひたすら耳を傾け、心で聴くこと。さえぎり・反論・評価をせず、最後まで言い切らせることだ。特に「家族の傾聴」は家族療法の中心的スキルであり、統合失調症やそううつ病の再発予防に高い医学的効果も実証されている。
「大人なのですから、まず本人自身に働きかけるのが本筋。けれど、現状100万人超といわれる我が国の引きこもりの半数以上が、社会とのつながりを持つ気すらないと答えている。こういった“本人拒否の壁”の場合の最終手段が“親だけ”に働きかけるアプローチで、それだけでも高い効果が期待されるのです」
最上氏が重きを置くのは、親が子どもに対する「傾聴」と「共感」だ。前述の通り、親はただひたすら子どもの心に寄り添い、子どもの話に耳を傾け続ける。反論したくなることを子どもが言っても、黙って聴き、背後にある本音の気持ちを理解しようと努める。
しかし、これはそう簡単ではない。長年こじれていたケースほど、子どもが親の変化に気付いても、すぐには信用しない。
「しかし何週間、何カ月間と粘り強く聴く姿勢を貫いていると、ある段階から子どもは安心し、本音の感情を徐々に出してきます。その積み重ねで『親に心から自分を受け入れてもらえた』と子どもが感じた時、問題行動は解決に向かっていく」