親の傾聴と共感が「8050問題」の解決につながる 専門家が指摘
子どもの年齢は関係ない。冒頭で触れたように8050問題においても、結果が出ている。
■本気の親の力には優秀なセラピストも及ばない
なぜ傾聴と共感が、そのような効果をもたらすのか?
多くの親子に共通して見られるのは、子どもが本音の気持ちを親に受け止めてもらうことを諦め、自ら感じることすら放棄したという過去だ。
「虐待歴などがあれば論外ですが、我が子を引きこもりにしようと育てる親など皆無ですから、親が原因という安易な決めつけは間違いです。残念なのは、手塩にかけて育てた我が子にも、この問題が生じてしまうという現実です。これは、親が思う以上に子どもが“繊細”過ぎた場合に多く見られます。顕微鏡でしか見えない我が子の世界観を、親が望遠鏡で必死にのぞこうとする、そんなすれ違いが積み重なっていた可能性があるのです」
そのため、やり場のない子の衝動は二次的に膨れ上がり、強い怒りや不安、虚無といった感情や苦悩を生み出す。結果、現実逃避として依存や引きこもりが生じ、消耗して無気力になれば、中にはうつ病などの精神疾患を発症したりもする。