新型コロナ後遺症「精神症状」を軽く考えてはいけない
新型コロナウイルスの感染者が増加するにつれ、後遺症を訴える人も増えている。新型コロナウイルス感染症そのものは軽症で回復した人でも、後遺症に悩まされるケースは少なくないという。咳や呼吸困難などの呼吸機能障害をはじめ、倦怠感、頭痛、動悸、嗅覚・味覚障害、脱毛など症状は多岐にわたる。中でも、軽視できないのが不安や抑うつ状態といった精神症状だ。
コロナ病棟が設置されているある病院で、コロナ患者を診ている医療チームのスタッフのひとりが自分も感染してしまった。幸いにも感染症は軽症で問題なく回復したが、2週間の自宅隔離を終えた後で強い不安感に襲われた。さらに、だるくて何もする気にならず、そのまま一歩も外に出られなくなってしまった。いまも現場には復帰できていないという。
中等症~軽症のコロナ患者を受け入れている江戸川病院の加藤正二郎院長が言う。
「新型コロナウイルス感染症の後遺症は主に3つに大別されます。炎症によって肺や嗅覚・味覚が障害されるケース、感染で生じた血管炎が要因でさまざまな症状が表れるケース、そして、メンタル不調を来すケースです。新型コロナ感染症から回復後、外来で『まったくやる気が起きない』『また感染してしまうのではないかと怖くて仕方がない』『不安で眠れない』『何も食べたくない』といった精神的な不調を訴えるケースを経験しています」