血液を調べてがんの状態を知る新しい検査法について考えたこと
■患者の心がよりつらくなるのでは
ただ、心配な点もあります。がんと診断され、さらに「あなたの血液中にがん細胞が流れている」と聞かされた患者さんは、それだけで「血液にがん細胞が見つかったということは、体中をがん細胞が回っていて、それで私は生きていられるのか?」とか、「私は末期がん、全身がんだ」などとよりオーバーに捉え、落ち込むことになってしまうのではないか。より詳しく知ることで、心はよりつらくなってしまうのではないか--。
「私はぴんぴんしているのに、そんなことはありえない」と思う患者さんもおられるかもしれません。とはいえ、こうした近年の検査法の進歩によって、より体のがんの状態を知ることが、さらに次の治療や対策などに役立ってくるのは間違いありません。また、患者さんにとっては採血されるだけの負担で済みますから、繰り返しの検査が可能となります。それくらい簡便な方法でもあります。
その一方、患者さんからは「体をより詳細に知ることができるすごい進歩なのかもしれないが、それよりもがんを完全に治す方法を早く見つけてくれ」と言われてしまうかもしれません。
なお、リキッドバイオプシーの保険適用については、今のところ遺伝子パネル検査など一部のものに限られます。実施を検討する際は、まずは医師に相談してみてください。