性感染症編(3)感染リスクの男女差に意外な理由 性活動だけではない
なぜ50歳から55歳を境に女性の感染者数は激減しているのか?
「性感染症は性交回数に比例して感染者数は増えていく。それだけこの年代の男性は女性に比べて性活動が盛んだといえますが、女性の淋菌やクラミジアの感染者数が50歳から55歳以降、急激に減少する背景には、女性は閉経により円柱上皮細胞が消失することも関係すると考えられています」
円柱上皮細胞とは、若い女性の子宮腟部や子宮頚管部の粘膜などに存在する細胞のこと。淋菌やクラミジアはこの細胞を好んですみつくといわれている。
「しかし、日本の女性の多くが50歳から55歳ごろまでには閉経期を迎えます。それを過ぎると、円柱上皮細胞は子宮腟部や子宮頚管部から後退して消失するので、閉経後の女性は淋菌感染症やクラミジア感染症にはなりにくいといわれています」
とはいえ、当然のことながらこれらはそうした傾向にあるということに過ぎない。実際、2020年のデータでも60歳以上でも淋菌感染症になる人は17人、クラミジア感染症になる人は26人いた。
閉経後の女性は淋菌感染症やクラミジア感染症になりにくいとはいえ、決してならないということではない。そのことは覚えておいた方がいい。