堀田秀吾
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堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「お酒を飲むと人格が変わる」は間違っている はたから見れば変化なし

公開日: 更新日:

 さて、被験者たちにはどんな変化が表れたのか? 実験では血中アルコール濃度が0.09%になるように作られたウオッカのソーダ割りを飲んだといいます。0.09%というのは、ほろ酔い期(血中アルコール濃度0.05%以上)と酩酊初期(同0.11~0.15%)の中間くらいの酒量です。500ミリリットルの缶ビールを2本ほど飲んでいる状態と考えていいでしょう。ほろ酔い期で運転事故の可能性は2倍になるといわれていますから、0.09%はなかなかの酔い加減です。

 被験者たちがこの状態になった上で、彼らの特定の行動や性格の特徴を観察するため、(「外向性」や「協調性」といったビッグファイブが浮き彫りになるような)アクティビティーを課しました。そして、その活動状況を見たウィノグラードらとシラフの被験者たちが点数をつけることで、酔った被験者たちが事前に自己申告したお酒による変化と、どのような差異が生じるかを検証したというわけです。

 その結果、多少「外向性」が増加した程度で、他の4つの因子においてはあまり変化が見られなかったそうです。自己申告では誠実さや協調性が低下すると報告していた被験者でさえ、はたから見れば実際にはさほど変化はなく、飲む前と飲んだ後では「ほとんど同じ」ということがわかったのです。

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