他人の目を気にするのは杞憂 みんなはあなたを見ていない
自分の髪形や服装が変じゃないか気になる。あるいは、飲食店で誰かが自分のことを見ているのではないかとそわそわする。誰かの視線を意識してしまう──。そういった自意識過剰ともいえる「気にしすぎ」な一面を、誰もが持っているのではないでしょうか?
「スポットライト効果」という言葉があります。これは、自分の外見や行為に対して、他者が実際以上に関心を持っていると考える、自己中心的な偏見を指します。
コーネル大学のギロビッチは、学生たちを対象にスポットライト効果を確かめる、ある心理実験を行っています(1999年)。
まず、大多数の学生に、「こんなプリントのTシャツは恥ずかしくて着ていられない」と感じるTシャツ(一言で言えば誰が見ても変だと感じるダサいTシャツ)を着てもらいました。その後、学生集会に顔を出すようにお願いし、1分ほど滞在した後、会場を出てもらいました。学生たちは、当然のように恥ずかしいと感じたようで、逃げるように会場を後にしたといいます。
ところが、ギロビッチが学生集会で、「さきほど、ここに変なTシャツを着た人が来たことを覚えている人はいますか?」と質問すると、手を挙げたのは全体の24%にとどまっていました。誰が見ても変なTシャツを着ている人でさえ、4人に1人しか見ていないという結果が明らかになったのです。ものすごく目立つ服装でさえ、4人に1人しか気が付いていないのですから、普通にしているケースであれば、ほとんどの人が気付いていない。自分自身が気にしているだけであって、周りの人は、あなたが感じているようには感じていないというわけです。