糖尿病患者の「目の中」はどうなってしまうのか…血管のこぶ、網膜の出血やむくみ
後期は増殖網膜症と呼ばれ、毛細血管が詰まって足りなくなった酸素や栄養を補うために、網膜から新たなもろい血管(新生血管)が網膜から硝子体にまでのびて大量に出血して、視力が低下することがある。並行して新生血管の周りには増殖膜が出来上がり、それが網膜を引っ張るので、牽引性網膜剥離を起こして、失明することもある。
「クリニックではあまりお目にかかりませんが、大学病院の外来では重症の網膜症の患者さんもまれではありません。原因不明の硝子体出血で、片眼の眼底がほとんど見えず、矯正視力も目の前に差し出された指の数もわからない患者さんに出会うこともありました。血糖値を調べたら、通常100程度の血糖が600もあるという症例も数年に一度はいました」
それでも患者には疲れやすさなど糖尿病への認識は乏しかったという。
「糖尿病の初期段階は視力低下などの自覚症状がないので異変に気づきません。ただし、糖尿病で目の不調を訴える人は診断から10年くらいの人が多く、20年で約60%が糖尿病網膜症を患い、そのうち15%は視力障害を起こすまで進行するといわれています」