糖尿病患者の「目の中」はどうなってしまうのか…血管のこぶ、網膜の出血やむくみ
糖の血中濃度が高くなる糖尿病。長く放置すると全身の血管がボロボロになり、さまざまな合併症を起こすことが知られている。なかでも視力低下の原因にもなる「網膜症」は、「腎症」「神経障害」と並び、糖尿病の3大合併症といわれる。ほかにも糖尿病が引き起こす目の病気には白内障や緑内障もある。なぜ、糖尿病は目に来るのか? 自由が丘清澤眼科(東京都目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。
「目は酸素や栄養を必要とするために、網膜にはそれを供給するための毛細血管が張り巡らされています。高血糖によりその毛細血管がもろくなったり、詰まるなどすると、それをきっかけに目の中でさまざまな変化が生じます。それが糖尿病網膜症です」
糖尿病網膜症は3つの段階を経て進行する。初期は単純網膜症と呼ばれ、毛細血管に小さなこぶができる。そこから漏れ出た血液中のタンパク質や脂質が網膜に沈着すれば白い斑点ができるし、小さな網膜出血も多発する。
中期は増殖前網膜症と呼ばれ、毛細血管が詰まり、そこから染み出した水分が網膜内にたまり浮腫が生じる。このとき、視細胞が集中して視力を出す最も大事な黄斑部に異変が起きれば糖尿病黄斑症を発症する。この状態では、網膜に栄養や酸素が届かない無潅流域ができ、視力低下も起きることがある。