新たな理論による「血流解析」は心臓治療を進歩させる可能性がある
こうした状況を血管で生じさせるのが動脈硬化です。血流解析によって流れの異常を把握できれば、突然死につながるような動脈硬化に対処することができるようになるのです。
■血流の把握で治療の最適なタイミングを判断できる
また、血流を解析することで、心臓手術を終えた後、治療で使用された人工血管や人工弁といった人工物の耐久性を予測することができます。
人工物に対して血流の圧力が均一にかかるように工夫することでより長持ちするようにしたり、血流を見ることで人工物の経年劣化の状態を把握し、最も適切なタイミングで再治療を行うための判断材料になります。
ほかにも、先天性心疾患の治療にも有効活用できます。たとえば、乳幼児期に心臓手術を行った場合、将来的にどこかのタイミングで必ず再治療が必要になってきます。人工物を使用すれば劣化は避けられませんし、心臓を含めた体の成長に伴って治療した箇所に不具合が出てくるのです。定期的な血流解析によって、縫った部分や人工血管が少しねじれた箇所で血流の乱れが起こっていないかどうかといったトラブルの状態を見極め、最もリスクが低いタイミングで再治療を行うことができるのです。