肝臓と心臓の関係…脂肪肝は心臓疾患リスクをアップさせる
近年、飲酒が関係しない脂肪肝「非アルコール性脂肪性肝疾患」(NAFLD)が問題になっています。脂肪肝というのは、肝臓の細胞の5%以上に中性脂肪がたまった病態のことで、飲酒を原因とする「アルコール性脂肪肝」と、飲酒を原因としない「非アルコール性脂肪肝」があります。非アルコール性脂肪肝の患者数は推計1000万~2000万人と増加傾向にあり、NAFLDから肝硬変や肝臓がんに進行する危険だけでなく、心血管疾患のリスク因子としても知られているため、注視されているのです。
国内外の研究では、NAFLDの人は、一般の人に比べて心血管疾患を起こすリスクが約2倍多くなることが報告されています。またNAFLDの人が心不全を新たに発症するリスクは、そうでない人の1.5倍多いこともわかっています。
NAFLDがどのように心血管疾患と結びついているのかについては、はっきりとわかっていませんが、NAFLDの背景には、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病があり、それらは心血管疾患のリスク因子でもあるため両者は大きく関係していると考えられています。