「広い海で舟に乗っているよう」と妻に言い残し92歳男性は旅立った
「はい」(妻)
私たちは点滴などで最大限苦しみを取り除く処置を行い、奥さまと過ごす時間を設けられるように努めたのですが、一晩明け、呼吸停止のご連絡が来たのでした。
いつまで続くかわからない苦しみといつ尽きるかわからない命、いつ何があってもおかしくないご自分の状態を、海原で小舟に乗っているといった不安な気持ちに置き換え、「広い海で舟に乗っているよう」と患者さんは表現されたのでしょう。
そんな最後の言葉も、私たちが患者さんやご家族にできる最大限のことは何かを、改めて考えるきっかけになる貴重な言葉なのでした。