心筋梗塞を起こした後の心不全が急増しているのはなぜなのか
俳優の中尾彬さん(81歳)、振付師の真島茂樹さん(77歳)と、「心不全」による訃報が相次ぎました。
高齢化が加速している日本では「心不全」の患者さんが急増していて、「心不全パンデミック」への警戒が呼びかけられています。心不全患者は毎年1万人ずつ増加しているというデータもあり、2030年には130万人に達するとみられているのです。
これまで何度かお話ししたように、心不全は単一の病名ではなく、心臓の働き=ポンプ機能が徐々に低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった病態を指します。
息切れ、むくみ、疲れやすいといった症状が現れ、放置して慢性心不全になると、良くなったり悪くなったりを繰り返しながらだんだんと心機能が低下していき、場合によっては予期せぬ脳梗塞を発症したり、徐々に腎機能が悪化して血液透析に移行するなど、生活の質を低下させながら命を縮めてしまいます。
心不全を起こす原因には、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、心房細動などの不整脈といった心臓疾患、心臓以外では、慢性腎臓病や膠原病が挙げられます。また、こうした心臓や腎臓の病気の大きな危険因子となる糖尿病や高血圧などの生活習慣病がある人も心不全のリスクが高いといえるでしょう。