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酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

睡眠中の脳の働きが「ひらめき」を生むのはなぜか?

公開日: 更新日:

「親の認知症が進んだようで、夜、寝なくて困ります。昼はいつもうとうとしていて……。どうしたらいいのでしょうか」

 ご家族からよく寄せられる質問です。

 良質な睡眠はとても大切です。睡眠リズムが崩れると、気持ちいい生活が壊れて、思考が低下します。ホルモン的にも23時から3時までは睡眠がとても大切になります。さらに、高齢になると、睡眠時間は6時間程度ですので、23時から5時までは気持ちいい睡眠をとってもらうための治療が必要です。

 今回は「睡眠の脳科学」についてお話しします。

 1997年から3年間、デンマーク国立オーフス大学脳神経病態生理学研究所で脳卒中研究チームの責任者を務め、脳循環代謝の研究をしていました。その頃、時々不思議なことが起こり、まだ何も証明されていない“科学”がひらめくことがあったのです。

 当時、自分が研究していた脳卒中科学で、「どうすれば脳梗塞になりかけた脳組織を救うことができるのか」について、脳循環代謝の機序からいつも考えていました。しかし、よくわかりませんので、とにかく世界中の論文を読んで科学を勉強したのです。面白いもので、どんなに難しい科学誌も3回読むと何となく理解できたような気になってきます。そして、たくさんの論文結果と方法論を勉強して、睡眠前にあれこれと考えて眠ると、ある朝、ひらめくことがあったのです。

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