「決断疲れ」が自分と他人を不利益の沼へと導く…人は1日3万5000回の決断を行っている
午前中の早い時間から審査された受刑者は、約65%が仮釈放を認められたのに対し、時間が経つにつれて、その確率は0%に近くなっていたといいます。しかし、裁判官の食事休憩のあとは再び65%に戻ったそうです。
レヴァヴはこの結果を受け、「決断をたくさん重ねると、精神が疲弊し、できるかぎり考えなくていい方法で決断しようとする。この場合、最も考えなくていい方法は何か。仮釈放すべきかどうかを考えないで、ただ仮釈放しないことだった」と分析しています。
つまり、「Aという受刑者を仮釈放すべきか、次にBという受刑者を仮釈放すべきか」という脳のリソースをすり減らしていく作業を続けた結果、考える力が低下し、後の人になればなるほど「釈放しなくていい」という安易な決断を下した--なんともゾッとしてしまう結果を招いたというわけです。
ケンブリッジ大学のサハキアンとカリフォルニア大学サンディエゴ校のラブゼッタの研究によると、人は1日に約3万5000回の決断を行っているといいます。この決断の中には、無意識に行われる決断も多く含まれており、そうした“習慣化された決断”は決断全体の約95%を占めるといわれています。裏を返せば、約5%は意識的な決断をしているということになります。