日本人の「出る杭は打たれる」は本当だった…誰かが突出することを恐れる
誰かが飛びぬけた成果を出すことを恐れるあまり、仲間意識を求め、同じ目線を期待する。日本人のそうした意識を示唆する研究が存在します。
大阪大学の西條と福島大学の中村が行った実験(1995年)では、日本人被験者は米国人被験者よりも「自らの利益を減らしてでも、相手に利益を与えない」と振る舞う行動を選ぶ割合が高かったそうです。
この実験は、2人1組で行われる投資ゲームで、初期資金として10ドルを与えた条件でスタートし、10回×2セットを繰り返します。参加者は0~10ドルの範囲で任意の金額を投資できるのですが、2人の投資額の合計に1.5倍をかけた金額が、2人に均等に分配されます。
例えば、AさんとBさんがそれぞれ10ドル投資をすると、合計額は20ドル。1.5倍をかけると30ドルとなり、AさんとBさんにそれぞれ30ドルが支払われる。双方とも手元の残金はゼロですから、30ドルが持ち金となります(ケース①)。
次に、Aさんが10ドル、Bさんが0ドルだった場合は、合計額は10ドル。1.5倍をかけると15ドルとなり、AさんとBさんには15ドルが支払われます。しかし、Aさんは10ドルを捻出しているため、手元に残金はなく、支払われた15ドルのみが持ち金となります。一方、Bさんは投資額が0ドルだったため、手元に10ドルがあり、支払われた15ドルと合算すると25ドルの持ち金があるということになります(ケース②)。