子供の近視の進行抑制に高まる期待…アトロピン点眼薬「リジュセアミニ」が登場
「そこで低濃度のアトロピンがシンガポールで研究され、『マイオピン』の名で実用化されました。日本でも一部の眼科医が個人輸入の形で使用しています。いわば効能と安全性で実績のある薬です」
しかも、この新しい薬は使い捨てタイプであり、防腐剤が含まれていない。点眼薬に使われる防腐剤は短期使用であれば問題ないが、何年にもわたる長期使用では、眼表面に影響を与える可能性がある。
■オルソケラトロジーとの併用も
その点、この薬はより安全だ。
「マイオピン開発の前に、シンガポールの6~12歳を対象にアトロピン濃度0.5%、0.1%、0.01%を用いて近視進行抑制効果と副作用を調べる治験が行われました。濃度0.01%でも効果があり、副作用も少ないことが確認され、最初は濃度0.01%のものがマイオピンとして売り出されました。その後、濃度0.025%の点眼液が追加発売されました。今回の新しい薬の濃度も0.025%です」
現在、近視進行抑制効果が期待できるものとして、1日2時間以上の屋外活動や、就寝時に専用のコンタクトレンズを装着する「オルソケラトロジー治療」が挙げられる。また、2014年には中国で650ナノメートルの光が過剰な眼軸を抑制するとの報告があり、赤や紫の光を用いた治療も注目されている。
「今後は日本国内でも小児の近視進行抑制の機運が盛り上がり、裸眼視力の向上が期待されます」