ひろゆき実践“うまく自己主張できない人”が変わる話し方…物事や人間関係を円滑にするコツ
日常生活において誰かから何かを頼まれたり、何らかの決め事が進行したりしそうな時、「自分の希望が言いたいけど、言いづらい」と悩むケース──。そんな時、「論破王」としても知られるひろゆきさんならどうするのでしょうか? ひろゆきさんの新刊『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします
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◼️希望は早い段階で言う
自分の希望を話すのが苦手な人は、いつも相手の希望に合わせて動きがちです。何人かで行動する時も、上手に主張できず、自分の希望が考慮されないままになってしまったりします。旅行でどうしても行きたい場所があるのなら、「ここだけは絶対行きたい。あとは任せる」と早めに言っておくとよいでしょう。これだと、わりとすんなり受け入れられると思います。
たとえば、京都に行くのであれば、「金閣寺だけは見たい。あとはもう任せるよ」などと言っておくと「じゃあ金閣寺は入れようか」という話になって、ほかの候補地を選ぶ際にも「金閣寺に1日目か2日目に行くんだったら、どんなルートがいいかな」と、金閣寺に行くことを前提にプランを立てることになるのです。
大切なのは、ごく早い段階に希望を言うことです。ある程度話が進んでから「金閣寺だけは見たい」と言っても「もう金閣寺は入れられない」となってしまうかもしれません。
◼️何も主張しない寡黙タイプに人気者はいない
だいたい、多くの人は、ある程度時間が経たないとなかなか自分の希望を言ってきません。早々に希望を言うと、わがままに思われるのが嫌だからかもしれませんね。でも、僕は、わがままな人のほうが実は好かれているんじゃないかなとも思うんです。漫画の主人公を考えると、『ワンピース』のルフィとか『ドラゴンボール』の悟空とかって、めちゃくちゃわがままです。でも、みんな好きじゃないですか。
一方で、なんの主張もしない出木杉君(『ドラえもん』)を好きな人って、あんまりいないですよね。
中高生の時のクラスメイトを思い出しても、クラスの人気者はたいていリーダーシップをとるタイプです。「寡黙でいつも言われたことに従うタイプが一番人気」という話は聞いたことがありません。むしろ、いてもいなくてもいい人でしかない、という気がします。
話を元に戻すと、ずっとわがままを通す人は嫌われるかもしれませんが、「ここだけはこだわりがある」という人については「この人はそういう人なんだ」と受け入れられるだけで、周囲もべつに不快感はないんじゃないかなという気がします。これは今のところの僕の仮説ですが、「金閣寺だけは見たい」なんかが、まさにそれです。
実際のところは、むしろ「金閣寺に行きたい」と言ったほうがルートは決めやすくなります。「どこでもいい」と言われると、どこから手をつけたらいいのかわからず、なかなか決まりませんが、金閣寺に行くと決まれば、「何時の新幹線で行って、こういうルートで」と、物事を決めやすくなったりするんです。
外食も同じで、みんなが「どこでもいい」と言うと、その場で立ち尽くすことになりかねませんが、「ここのカレー屋、めちゃくちゃおいしいらしいんだよね」と言う人がいたら、ラクに決められるし、うまいカレー屋の情報がもらえるので、みんなにとっても得になるのではないでしょうか。
◼️できるリーダーはわがままを必要としている
そもそも、旅行の予定を組みたがるような人や鍋奉行をやりたがるような人には、“わがままな人”が必要なんです。
こういう人は、ジグソーパズルを解くのが得意なタイプが多い気がします。パズルというのは、ある1つのピースを当てはめると、どんどん芋づる式に当てはめていけますよね。これは「今の課題には、こういう要素がある。それをうまく調整すれば、結果すべてがよくなっていく」みたいな発想だと思うんです。
なので、そういうタイプの人には、周りのわがままってむしろ必要なんです。いろんなわがままを言ってもらって、そのわがままを全部満足させるプランを作ることができた自分に酔う、みたいなところがありますから。
いい組織のリーダーは、こういうタイプの人たちでしょう。そういう人には部下がわがままを適度に言って、調整力を発揮してもらうに限る気がします。
逆にそういうリーダーが困るのは、「なんでもいい」と言う人ばかりの時です。リーダーのほうで全部考えなくてはならないですからね。そんなわけで「金閣寺だけを見たい」と早い段階で言っておくことは、決して嫌われるわがままではないんです。
ただし、スケジュール的に無理とわかってもゴネ続けるような人は周囲との衝突を招くでしょうから、最初に提案しておいて無理そうなら折れるぐらいがいいのではないでしょうか。
◼️自分の意見は「おすすめ情報」に混ぜてしまおう
それでも言いづらければ、わがままな発言をわがままに見せない工夫もあります。要は、自分が行きたい場所があるとして、それを自分の希望としてストレートに出さずに、みんなへの情報提供という形にしてしまうことです。
最近ロサンゼルスに行ったのですが、そこに「ザ・ラスト・ブックストア」という名前の本屋があります。「地球上で、もし最後の本屋になるんだったらここだよね」と思える本屋で、面白いから行きたかったんです。その時、自分が行きたいと言うのでなく、「あなた、こういうの好きでしょ?」という提案の形にしたりします。あるいは、辛いものを食べたかったとしたら「○○さん、辛いの好きでしょ。最近こういう辛い店あるらしいよ」と言ってみたり。
言われた側は「私のこと考えて探してくれたんだ」と考えますから、わがままだとは思われません。
情報提供の体で提案する
具体例をビフォーアフターで考えてみましょう。
<Before:ここがダメ>
A:お昼どこに行こうか。(誰か決めてくれないかな)
B:どこでもいい。(特に考えてなかったしどこでもいいや)
C:みんなに合わせるよ。(自分が言うのも申し訳ないな)
(※なかなか決まらない)
<After①:こう変わった!>
A:お昼どこに行こうか。(誰か決めてくれないかな)
B:どこでもいい。(特に考えてなかったしどこでもいいや)
C:俺、行きたいカレー屋あるんだけど。
(※本当は言ったほうがいいけど、強引な人に思われないか気になることもある)
<After②:こう変わった!>
A:お昼どこに行こうか。(誰か決めてくれないかな)
B:どこでもいい。(特に考えてなかったしどこでもいいや)
C:新しいカレー屋ができたんだけど、Aさん、辛いもの好きだよね。
(※情報提供の体で提案すると言いやすい)
AB:じゃあ、そこ行こうか。
◆ひろゆき(本名:西村博之)1976年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。1996年、中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「相手の人格を否定すること」を禁じた新たなSNSサービス「ペンギン村」をリリース。2021年、自身のYouTubeチャンネル(登録者数160万人。2023年10月25日現在)での生配信を元にした「切り抜き動画」が話題になり、1か月の総再生回数は3億回を超えた。
主な著書に、『論破力』(朝日新書)、『1%の努力』(ダイヤモンド社)、『自分は自分、バカはバカ。』(SBクリエイティブ)、『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)などがある。