能登半島地震でビル倒壊の衝撃 「耐震性はマンションより弱い」と専門家、旧基準はさらに危険
■倒壊したビルは72年竣工
81年6月1日に耐震基準が引き上げられ、それ以前の基準で建築された建物は旧耐震基準とされている。倒壊したビルは72年に竣工していることから、旧耐震に当たる。旧耐震は震度5程度で建物が倒壊しないレベルが求められているのに対して、新耐震は6~7で建物が倒壊しないレベルが求められている。2021年時点で全国のマンションストック約686万戸のうち、旧耐震マンションは約103万戸ある。
「95年の阪神・淡路大震災の際、倒壊や半壊など建物が甚大な被害を受けた約9割が旧耐震の建物といわれています。地震が頻発する中、耐震診断とそれに伴う耐震補強を行うべき状況にありますが、耐震性を満たすと確認されているのは2割程度という状況です。原因として費用面のほか工事自体の難易度が高くなってしまうケースや、住民の高齢化などが挙げられています。また1度目の地震で持ちこたえられても、度重なる余震で損壊するケースが少なくありません」(長谷川高氏)
多額の費用がかかっても、命には代えがたい。耐震性が確認されていないマンションは資産性保全の意味からも今すぐ診断、対処すべきと長谷川氏は警告する。