酷暑対策としてアイススラリーに注目 甲子園ベンチ裏にも常備、シャーベット状飲料のスゴい効果
体の内と外のW冷却
それにしてもアイススラリーの冷却効果は、なぜこれほど大きいのか。前出の広報担当者が続ける。
「アイススラリーは冷凍庫で4時間以上凍らせてから15分ほど常温に置いて、手でもみほぐして飲んでいただく商品です。この手でもみほぐす作業が、体の冷却に作用するのがひとつ。もうひとつは、氷と違って流動性が高く、飲んだ粒子がのどから食道、胃、腸へと流れ落ちるとき、粘膜に張りつき、接触します。その接触面の大きさが、冷却効果の高さにつながっていると考えられます」
もみほぐしの冷却効果について補足しよう。手のひらには、動脈と静脈が直接つながる特殊な血管があって、通常の血管より多くの血液がそこを通る。そのため手のひらを冷水に浸したり、氷をつかんだりすると、冷えた血液が体の深部に戻って、体が冷却される。医学的に手掌前腕冷却と呼ばれる仕組みで、この外的な作用と氷の粒子による内的な作用が重なって高い冷却効果が生まれると考えられる。
仕事を終えた午後10時ごろ、日中の酷暑が少しだけ和らいだのを確認して5キロほどジョギングしてからアイススラリーを飲んでみた。なるほど、カチカチに凍ったパウチを手でもむと、それだけで熱さがいくぶん引いていくのを実感し、ほぐれたシャーベットを飲んでいくと、胃から腸のあたりまで冷たさが伝わっていくのが分かった。
かき氷やアイスクリーム、冷えたドリンクなどは口に含んだ瞬間だけ冷たいが、アイススラリーは体内で明らかに長く冷えていた。かき氷のように頭がキーンとすることもなく、すべて飲み切った後は、ジョギング直後の火照りがかなり改善されていた。驚きの冷却効果だ。
■寝つく時間が半減
火が燃え盛る消防士の活動現場や甲子園のような炎天下での運動ほど極端な状況でなくても、アスファルトの上は天気予報で発表される気温より5度高いとされ、この酷暑化でアスファルト地獄の都市部は40度を大きく上回ることになる。工事現場などの作業員や外回りの営業マンはもちろん、エアコンがよく効かない室内での作業員らサラリーマンも積極的な体の冷却が欠かせない。やっぱり、アイススラリーは、そんな作業中や運動中、それらの後に飲むべきか。
「暑熱環境下での作業が想定されている時は、まず作業前にアイススラリーを飲んで深部体温を下げておき、作業中にはスポーツドリンクなどで水分を補給。そして昼休みなどの休憩時に、もう一度アイススラリーを飲み、午後の作業中も水分補給を続けながら、終業に向かうのが理想的な飲み方です」(前出の広報担当者)
昨夏の甲子園で107年ぶりに優勝した慶応高校は、地方大会からリポビタンアイススラリーを取り入れ、試合前や試合中にうまく体を冷やしていたという。
それだけが優勝の要因ではないだろうが、選手の効果的なパフォーマンス維持にアイススラリーが貢献した可能性は大いにあるだろう。
大塚製薬と北九州市消防局との調査では、発汗量についても調べている。アイススラリーを飲んだ時は、スポーツドリンクに比べて有意に発汗量が減少。汗による水分やミネラルの流出が抑えられていたというから、事前摂取は重要だ。
この夏は、夜間も気温が十分下がらず、寝苦しい毎日だ。そこでおすすめなのが就寝前の摂取だという。
「ベッドに入る30分前にアイススラリーを飲むと体の内部が冷却されることで寝つくまでの時間が有意に短縮。さらに起床時の疲労回復感を示す項目も有意に改善していました」(前出の広報担当者)
アイススラリーを飲まずにベッドに入ると、寝つくまで約70分を要したが、アイススラリーで冷却すると何と30分ほど。この差はデカい。
◇ ◇ ◇
暑い暑い夏は、まだまだ続く。アイススラリーをうまく取り入れて、酷暑を乗り切ろう。