大雨や大洪水への備え…警戒レベル4「避難指示」での避難は遅すぎるケースを知っておく
「高齢者等」はケガ・病人、乳幼児も含む
こうやって刻々と変化する雨雲の状況や河川の水位などをしっかりとチェックしながら、適切なタイミングで避難するのだ。
避難指示は、全5段階。警戒レベル1は「早期注意情報」で心構えをしておく。警戒レベル2は「大雨・洪水・高潮注意報」だ。もう一歩進んで避難行動を確認する。ここまでは気象庁が発表する。そして警戒レベル3は「高齢者等避難」、警戒レベル4は「避難指示」と切迫度が増していく。警戒レベル5は「緊急安全確保」で、災害が発生した状況だ。避難所への避難はもはやできない。その場での安全確保だ。「3」からは市町村が発令する。
「警戒レベル4までに全員の避難が完了していることが重要ですが、家族構成や気象条件によっては、警戒レベルに先んじて避難しなければいけません。ここを勘違いされている方が少なくないのです」
どういうことか。
「警戒レベル3に『高齢者等』とあるのは、足腰の弱い高齢者だけでなく、ケガや病気の方、乳幼児を抱えている方などを含みます。想定されているのは、避難に時間を要すケースで、これに当てはまれば、高齢者でなくても、この段階で避難するのです。あるいは、かなり時間がかかるなら、警戒レベル2でゆとりをもって避難するようにします」
たとえば両親と夫婦、赤ちゃん1人のような家族で、夫は勤務中、パートの妻は帰宅したようなタイミングだと、妻1人で両親と赤ちゃんを連れて避難するのは大変だ。レベル4での避難では間に合わない恐れがあるから、レベル3や2での避難を考えることになるという。
■指示を待たずに明るいうちに行動を
そのためには、避難所までの道のりをきちんとチェックしておくことも必要だ。
「平時は歩いて10分で避難所に着いても、そういうときは2倍以上かかるかもしれません。道が混雑していれば、なおさらです。子供や両親が周りの人に押されて、ケガをするかもしれません。避難所へのルートをいくつか想定しておくことも大切です」
なるべく明るいうちに避難する。前述したように「ウチは大丈夫」とリスク判断が甘いと、避難が遅れる。そうならないようにする。
「『高齢者等』がいる状況で夜間の避難は危ないので、いろいろな情報から夜間での避難が見込まれるときは、明るいうちに避難します。避難は必ずしも避難所でなくてもOK。ホテルや旅館、友人や親戚の家など安全な場所ならどこでもよいので、ゆとりある行動を肝に銘じることです」
線状降水帯が発生した集中豪雨と発生していない集中豪雨を比べると、死者が5倍に増えたとする報告もある。線状降水帯による集中豪雨は土砂災害を起こしやすいためだという。そうしたデータからも、やっぱり避難は早め早めが肝心だ。