部屋から釣りができる!三重県鳥羽市の旅館「海上料亭 海楽園」で極上体験
「生餌」の竿がヒット
しばらくして、竿を置き天然温泉の露天風呂へ向かう。湯船につかって目をつむると、波の音とともに海鳥の鳴き声が優しく耳を包んだ。今頃、魚はかかっているのだろうか。日々の喧騒から遠く離れ、海の中に思いを馳せる。これほどぜいたくなことはない。
夕食には豪華な地元の食材が並んだ。伊勢エビの刺し身、サザエ、牡蠣、そして黒毛和牛……。どれも目と舌を楽しませてくれる逸品ばかりだ。なんと幸せなことか。
大満足してから広縁に移ると、たちまち睡魔がやってきた。欲望にあらがう必要はない。流れに身を任せよう。そのまま朝を迎えるのも悪くない。
深い眠りの底から呼び戻されたのは約2時間後だった。ついに鈴が鳴ったのだ。
かかった──。
目覚めて即座に臨戦態勢。竿を掴み、ゆっくりと糸を手繰り寄せる。ピンと張りつめたその先からは、確かな重みを感じた。獲物が生餌をのみ込むまで少し待ってから、リールを巻き上げる。
のっぺりとした感触に「ウツボだろうか」。思った瞬間に水面から獲物が姿を現した。アナゴだ! 慎重に竿を上げて広縁に引き込んだ。45センチはある。うれしすぎる大誤算だ。
せっかくだからとセット①②で釣りを再開したが、目立った釣果は上げられず。早々に見切りをつけて、大浴場で汗を流した。
翌朝も腹いっぱいに朝食を頬張った。チェックアウト時まで元気に生きていたアナゴは、持って帰ろうかと逡巡したが、隣室のカップルに引き取ってもらうことに。無駄にならずに済んでよかった。
部屋から釣りができる上に豪華な食事。そんな非日常の体験が、こんなにも心身を満たしてくれるとは思わなかった。