熱狂する韓国コスメブームに違和感。顔につけるのに、低価格、パケ買い、なんとなく…だけで買って大丈夫?
店頭に並ぶ化粧品が様変わりしている違和感
つい先日、資生堂の最終赤字が100億円超との報道がありました。主な理由は中国での事業不振にあるそうですが、実際のところここ数年で急速に、日本のコスメブランドの勢いが衰えているのを痛感します。
街中のバラエティショップには今や海外メーカーのプチプラコスメがずらりと並び、そのほとんどは韓国メーカーによるものです。
実際、矢野経済研究所が発表した化粧品市場に関する調査によれば、2023年には韓国からの化粧品輸入額が前年比123.8%の959億6,200万円にも達しているそうです。
国内メーカーによるコスメを探すのも大変といった陳列のショップも多く、明らかに数年前とはコスメを取り巻く環境が様変わりしているのを感じざるをえません。
筆者と同じような感想を抱いている人も少なくないのではないでしょうか。
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韓国コスメへの異常な熱狂は正しいのか?
アジアのコスメメーカーの勢いは目覚ましく、韓国コスメや中国コスメ、タイコスメなどアジア各国のメーカーが次々と日本に上陸しています。
特に韓国コスメは「安くて性能がいい」というSNSや越境ECサイトを中心としたマーケティングによるイメージ戦略、低価格帯のブランド戦略などが成功し、日本においても「コスパ良し(なイメージ)」を理由に、熱狂的に買い漁っている人をよく見かけるようになりました。
しかし昨今、筆者は強烈な疑問を抱きつつあります。
ECサイト、特に越境ECに書いてある情報を鵜呑みにするのは危うい解釈です。日本メーカーにおける歴史と伝統ある研究能力は、隣国にあっさりと負けてしまう程度のものなのでしょうか。
食品に関しては「安心・安全の国産」にこだわっていても、なぜか化粧品となると「安さ」と「かわいさ」に加えて「なんとなく良さそうだから」や「流行っているから」だけで手に取っている傾向も強くうかがえます。
もちろん韓国コスメもさまざまですから、全てがダメ、またはその逆に全てが優秀といった雑なくくりをしたいわけではありません。
どの国のメーカーが作っているものでも、いいものもあれば悪いものもあるというのが実態でしょう。
化粧品を「安心」や「信頼」で選ぶという選択肢を
現在でも日本の国内メーカーが手掛ける化粧品の品質は、世界トップクラスを誇っています。しかし化粧品を買うきっかけとなる“高揚感”については、残念ながらも他国のブランドの勢いに負けてしまっているのも一つの現実。
顔に継続して塗るものなのに、食品のように「品質で選ぶ」、「信頼で選ぶ」といった感覚が消費者側に薄れていて、パケ買いならぬ「イメージ買い」や「価格だけで選ぶ」といった傾向も強まっているように感じます。
また今、日本国内の経済に元気がないと耳にする機会が増えていますが、一方では2024年における国内の化粧品市場自体は前年比約4%増と拡大をしています。
コスメの価格帯によっても「私たち消費者が求めるもの」は異なり、流行なのか品質なのか、それともブランドイメージなのか…と違いがありますが、熱狂的な広告やSNSで見る投稿を鵜呑みにせず、食品同様に品質や信頼で選ぶ心がけがより真剣に求められている過渡期のような気がしてなりません。
「自分の肌に直接塗るもの」は「自分が口に入れるもの」と同じように、品質や信頼で選ぶべきというのが筆者の考え方。この機会に、化粧品の選びかたを考えるきっかけにしていただければ、これ以上の喜びはありません。
ひとり一人の行動は小さくても、その行動の積み重ねが日本経済を支える大きな力にもつながるのではないでしょうか。
(並木まき/ライター・エディター)