安城市図書情報館(愛知県)気分や目的に合わせて居場所が選べる滞在型
七夕の街として知られる愛知県安城市。安城市図書情報館は、そんな街の中心地、JR安城駅から徒歩5分の場所にある。外観は光のきらめきをモチーフにしたガラスのキューブで構成されており、陽光が建物に反射・屈折する様子は、まるで“知のひらめき”を象徴するかのよう。じつはこの図書館、全国から視察が絶えない「滞在型図書館」の先進事例だ。
建物の1階はホールやカフェが配置された複合施設で、2階から4階が図書館機能を持つ。2階は「子どものフロア」、3階は料理や健康に関する書籍が並ぶ「暮らしのフロア」、4階は文学書や芸術書、哲学書などの「学問と芸術のフロア」。
「上階へ進むごとに、読書や調べものに集中できる静かで落ち着いた空間になっており、その日の気分や目的に合わせて居場所が選べますよ」と話すのは、安城市アンフォーレ課の市川祐子さんだ。
蔵書数は約47万冊。席数も800と余裕があり、飲食や会話もOKという“寛容さ”が何よりうれしい。こうした居心地のよさが図書館の利用率にもつながっており、市民1人あたりの貸出冊数は同規模の図書館で、過去に3年連続1位を獲得している。
本の並べ方にもひと工夫
地域性を反映した蔵書も特徴のひとつだ。童話作家・新美南吉ゆかりの地として関連資料が充実しているほか、自動車工業が盛んな街らしく、機械工学や製造技術に関する専門書も豊富。本の並べ方にもひと工夫ある。通常の図書館が用いる分類法(NDC)ではなく、司書たちによって関連するテーマが利用者目線で分けられているため、棚の前に立つだけで自然と手を伸ばしやすい。
そんな本との偶然の出合いをより楽しめるのが、司書が選んだ「らBooks」コーナー。テーマに沿ってセレクトされた本が並び、「こんな本があったのか!」と気づかされる。
「『自然と本が呼んでいた気がした』『ここに通って、自分の進む道が見えた』という声をいただいたときは、本当にうれしかったですね。司書冥利に尽きます」とは市川さんだ。
●住所 愛知県安城市御幸本町504-1
●開館時間 火曜、第4金曜、年末年始、特別図書整理期間を除く9~20時(土日祝は18時まで)
●アクセス JR安城駅南口から徒歩5分