日本とここまで違うのか!隣国「台湾」の喫煙に関する後進的な法律 ~日本で利用者増加中の加熱式たばこはなぜ持ち込めないのか

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隣国の台湾での事情とは

 喫煙者に対する逆風が年々強まる中、わが国では喫煙者に占める加熱式たばこ使用者の割合は約4割に達し、5人に2人が加熱式たばこを愛用しているという。

 最近富みに顕著になった紙巻きたばこ離れは今後ますます加速し、加熱式たばこが主流となることは間違いないだろう。

 そんな中、隣国の台湾では事情がいささか異なっている。それは――。

2023年 悪法ともいえる「たばこ害防止法」が施行

 もともとたばこを吸う人が少なく、たばこに対して否定的な見方をする人が多かった台湾ではこうした背景のもと、2009年に受動喫煙を防止するための「たばこ害防制法」が施行され、たばこを吸う場所や状況などについて厳しい規制が定められた。

 そして2023年3月に同法が改正され、新たに「たばこ害防制法」が制定された。日本の厚生労働省に当たる台湾の衛生福利部国民健康署はこの法律の第15条に基づき以下のように規定している。

「いかなる者も以下の物品を製造、輸入、販売、供給、展示、または広告してはならない。
一、たばこ製品やその容器に類似した菓子、点心、玩具、その他の物品。
二、類似たばこ製品やその組み合わせ部品。
三、第7条第1項または第2項に基づいて健康リスク評価を通過し、承認された指定たばこ製品やその必要な組み合わせ部品以外の物品。類たばこ製品および前項第3号の指定たばこ製品を使用してはならない」と規定。

 台湾へ入境する際に持ち込めるたばこ製品は紙巻きたばこや刻みたばこ、葉巻のみとし、加熱式たばこは禁止するとの基本的な方針を出した。そして、この規定を破った者は外国人であっても厳しい処罰を科すとしている。

最高2500万円もの罰金が

 長く人々を苦しめてきたコロナ禍もようやく収束、海外に出かけようという人も多くなった。そんな中、台湾を訪れようという人も少なくないに違いない。

 では、もし日本からの旅行者が台湾入国の際に加熱式たばこを持ち込んだ場合、はたしてどうなるのだろうか?

 同法の規定によると数量に関わらず第26条に基づいて5万台湾ドル(日本円で約25万円)から500万台湾ドル(同約2500万円)の罰金が科され、当該製品は没収または返送されることになるというからかなり厳しい。

 台湾の各税関では、輸入郵便物や宅配貨物、旅行者の預け荷物に対して厳格なX線検査を実施し、入国する旅行者の手荷物についても取り締まりを強化している。そのため、台湾の法律に違反して罰金を科されないように十分な注意が必要だろう。

 ちなみに、日本人が台湾当局に摘発されたケースとして、違法に加熱式たばこを販売する犯罪組織の一員である知人(日本ではその様な話を聞いていない)から「宿泊費など無料にするから頼みを聞いてほしい(加熱式たばこの運搬)」と言われ、違法とは知らずに台湾に加熱式たばこを持ち込んで罰金を科されたという事例もある。

 このような事例を挙げるまでもなく、台湾に行く際には日本と台湾の法律の違いをしっかりと理解することが重要である。

外務省も大手旅行代理店も注意喚起

 こうした日本人が被るトラブルを未然に防ぐため関係省庁や旅行代理店では台湾への渡航者に対する注意喚起を積極的に行っている。

 外務省では海外邦人安全課が作成している「外務省海外安全ホームページ」の台湾安全対策基礎データの「査証、出入国審査等」の項目の中で加熱式たばこの取り扱いなどについて説明しているし、大手旅行代理店は台湾への渡航者に対して「外務省海外安全ホームページ」の当該ページを紹介、周知徹底を図るなどの対策を講じている。

 しかし、正直なところ、台湾には加熱式たばこを持ち込めないという現実をしっかり理解している人はまだまだ少ないのが現状だ。今後はこれまで以上の注意喚起をすることが望まれる。

正しい判断でたばこ愛煙家に自由を!

 加熱式たばこは燃焼式たばこと異なり二手煙が発生しないため愛煙家が増え、世界では徐々に市民権を得つつある。

 台湾政府は加熱式たばこの販売と使用を長年にわたって厳しく取り締まってきた。これに対して、同国の加熱式たばこ愛煙家から不満の声が上がるのも当然だ。

 今年4月、台湾政府の加熱式たばこ政策に不満を抱く支持者たちがデモを行い、「政府は合理的な判断をすべきだ」「正しい判断で加熱式たばこ愛好者に自由を!」などと抗議の声を上げた。

 また、WHOのたばこハームリダクション専門家である王郁揚氏は今年7月、自身のYouTube配信でこの秋にも加熱式たばこが台湾で正式に発売される可能性が高いと述べたが、衛生福利部は加熱式たばこを今後50年間禁止にしようとしており、加熱式たばこが承認される背後には複雑な利権が絡んでいることを指摘している。

今後の台湾はどうなる?

 全世界的に加熱式たばこが社会的に認められている流れに逆行している台湾だが、そのためにいくつかの問題が浮上し、社会問題化してきているという。

 その1つが加熱式たばこを巡って詐欺や密輸などの犯罪を行う反社会的な集団が年々増加。これらの行為は年々悪質化、複雑化しており、台湾にとって深刻な問題となっている。

 今後こうした状況にはたして台湾政府がどのような手を打ってくるのか、これからも大いに注視していきたいものである。

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