大阪万博準備の“ないない尽くし”パビリオン設計者が明かす…「強行なら能登復興の足かせに」

公開日: 更新日:

 この寒空の下、6万8000人以上が避難生活を送る能登半島地震の被災地を尻目に、来年4月の開幕に向け、急ピッチで準備が進む大阪・関西万博。主催者の政府と大阪府・市、経済界は「万博と復興の同時並行」にこだわり、万博が被災地復興の妨げとなる懸念を一顧だにしない。

 岸田首相は各省庁に「復興に支障がないように」と指示したが、少しは万博に携わる現場の声に耳を傾けたらどうなのか。

「万博開催に反対ではありませんが、どう考えても半年は延期した方がいい」--。こう訴えるのは、パビリオン設計を担当する1級建築士だ。

「現状のまま強硬に準備を進めても、復興の足かせになりかねない」と語り、次のように指摘する。

「万博会場となる夢洲は、いまだに水道や電気すら通っておらず、発電機と仮設トイレが欠かせません。水道や電気などライフラインの整備が急がれるのは被災地も同じ。万博会場では春ごろから一気にパビリオン建設が始まる予定です。建機だけでなく、発電機も復興工事と奪い合いとなり、被災地に必要な数が用意できるのか懸念されます。万博準備にかかる現場の負担や被災地復興を考慮するのであれば、万博を半年延期して時間差をつくる方がメリットがある。万博準備に余裕が生まれ、労働災害を未然に防げるかもしれない。被災地に優先的に建機や人手を割いて復興も進められる。政治的なメンツが大事なのかもしれませんが、被災地の復興を何よりも優先すれば、国内外で賛同を得られるはずです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情