NTT(上)澤田純会長は財界活動に軸足 島田明社長に権限を集中して「王国」再生を目指す
NTTは将来的にICT(情報通信技術)の世界標準を握る“切り札”として「IOWN(アイオン)構想」を掲げている。IOWNとはネットワークの技術基盤を丸ごと変えてしまう構想のことだ。現在のITは電子で情報を伝送・処理するのが基本だが、さらにスピードを上げると発熱と電気使用量の増大という壁に直面する。IOWNは光で情報をやりとりすることによってこの壁を越え、低消費電力、大容量を実現しようというもの。
IOWNを切り札として、海外に打って出る。競争相手は中国のファーウェイであり米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)にほかならない。
グローバルに再挑戦するには半官半民の企業から脱し完全民営化は願ってもないことだ。
だが、NTTの完全民営化によって、NTTが外国資本に狙われ、国の重要なインフラである通信を握られてしまうことを強く警戒する議論も自民党内にはある。高市早苗経済安保担当相は、中国などを念頭に「(株を)懸念国に全部買い上げられてしまうようなことのないような議論を期待する」とクギを刺した。