ダイドーリミテッド(上)物言う株主に抵抗し、総会直前に急きょ経営陣を入れ替え
株式市場では株式持ち合いは「悪しき慣習」として解消する動きが加速している。オンワードは持ち合い株の解消を進めており、23年2月、200万株をダイドーが取得し、オンワードの持ち分法適用会社から外れた。
これに歩調を合わせるかのように、SCはダイドー株式を徐々に買い増してきた。関東財務局へ提出した24年4月2日の報告で、SCは24.85%保有する。投資一任契約の受託分を加えると議決権の32.2%になるという。
SCの株主提案に驚愕したのがダイドーの現経営陣だった。すでに株式の3分の1を握っているSCが、生え抜きの鍋割社長の退陣を求め、取締役候補にダイドーと関係が深いブルックスブラザーズとオンワード樫山の出身者を擁立するというのだ。2人ともダイドー側の取締役候補になっても不思議ではない経歴の持ち主だ。
どうやって巻き返すのか。
■先手を打って封じ込める
ダイドーは当初、鍋割氏の社長続投と株主総会での取締役再任議案の提出を予定していた。SCの株主提案を受け、5月、この人事を撤回。ダイドーの中期経営計画の策定に関わったコンサル会社の山田政弘氏を会長、成瀬功一郎氏を社長に起用することに急きょ、切り替えた。