パン・パシフィック・インターナショナルHD(上)ドンキ創業者の長男、23歳の安田裕作氏を取締役に選任
大手ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH、東証プライム上場)は8月16日、取締役として安田隆夫創業会長兼最高顧問(75)の長男、安田裕作氏(23)を選任すると発表した。9月27日開催の定時株主総会での承認を経て、非常勤の取締役に就任した。
株主総会招集通知に裕作氏の経歴が出ている。2001年9月生まれ。19年7月にPPIHのインターンシップ(就業体験)、20年6月に「ブリアモン・インターナショナルスクール」を卒業。その後、「スイス スクール オブ ツーリズム・アンド・ホスピタリティー」に入学している。
23年には道玄坂ホテルマネジメント(ホテルインディゴ渋谷)で就業体験し、24年PPIHのグループ会社「パン・パシフィック・リテール・マネジメント(アジア)」「同(米国)」の責任者に就いた。
取締役候補者にした理由は、<当社グループの成長のためには、安定的かつ建設的な創業家との関係が必要である。(中略)当社グループが中長期的に高い付加価値を上げ続けていくためには、10代、20代の顧客獲得や、グローバル化が必要で、若い感性とグローバルな視点をもった取締役が必要である>としている。
ドンキは10~20代をファンにして、30代以降も店を継続してもらう戦略で成長してきた。独自の電子マネーアプリ「majica(マジカ)」では、若年層人口の50%を会員とすることを目標に掲げている。
取締役の年齢構成は40~70代。主に照準とする若者層と離れている。吉田直樹社長は「(取締役会でも)若い感性を入れたかった」と起用の理由を述べている。いささか苦しい弁だ。
PPIHの業績は好調。24年6月期決算は、売上高は前期比8.2%増の2兆950億円、営業利益は33.2%増の1401億円、当期利益は34.1%増の887億円だ。売上高は国内小売業5社目の2兆円突破を達成。35期連続の増収と14期連続の純利益増益となった。中期経営計画で掲げた売上高2兆円、営業利益1200億円を1年前倒しで達成した。
インバウンド(訪日外国人)による消費が旺盛で、ディスカウント店「ドン・キホーテ」などで免税品販売が伸びた。