「インバウンド」客数・消費額とも過去最速・最高を記録も…今後の課題は?
「円安と国内のインフレ低水準が訪日客の大きなメリットになっています。24年5月時点の国内消費者物価指数(CPI)は19年と比較して約7%上昇していますが、豪州や欧米は20%前後の上昇です。ただ、欧米は物価上昇に合わせ賃金水準も上昇しています。訪日の割安感がインバウンド需要の拡大につながっていると考えます」
コロナ禍以前は爆買いする中国人観光客が都内百貨店に列をなしていた。インバウンド消費行動はこうした「買い物」から宿泊費、飲食費、娯楽などサービス消費へとシフトしてきている。19年7~9月の訪日外客数は中国がトップで全体の36.9%を占めていたが23年同期には韓国、台湾に次ぎ15.1%まで落ち込み、4割を超えていた買い物消費は2割まで低下した。代わって欧米からの訪日客が増え、モノ(買い物)消費から体験型コト消費(宿泊、飲食、娯楽サービス)へと消費に変化が見られる。(24年の中国訪日客は回復)。
「24年の訪日外国人旅行消費額は8兆円が視野に入っています。今後のインバウンド消費の拡大には、富裕層向けの質の高いサービスや、日本ではサービス不足が指摘されるナイトタイムエコノミー(夜間消費)など、新たなサービス需要の開拓が期待される」(前出の久我氏)
観光地でのオーバーツーリズムが問題視されるが、企業と自治体による新しい街づくりが需要の拡大の鍵になる。
(ジャーナリスト・木野活明)