「外交の岸田」は幻に…政権浮揚かけた演出「レーダー照射問題」も玉虫色決着
このところ急速に雪解けに向かっている日韓関係が、何やら前進したようだ。対中包囲網の強化にシャカリキな米国主導で関係改善が図られる中、のどに刺さった小骨のようになっていた「レーダー照射問題」が決着をみた。舞台は恒例のアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)。1日の日韓防衛相会談で再発防止策に合意したのだが、政権浮揚に焦る岸田首相は自分の手で仕上げ、“成果”を喧伝するハラだったという。ナンセンスの極みだ。
■安倍時代から4年放置
コトが起きたのは、2018年12月だった。元徴用工訴訟をめぐる韓国大法院判決にブチ切れた安倍晋三首相と文在寅大統領が火花を散らしているところに、韓国海軍駆逐艦が海上自衛隊P1哨戒機に火器管制レーダーを照射。砲弾やミサイル発射に先立って実施する危険行為に日本側は激怒し、韓国側は否定し続けたため、日韓関係は戦後最悪まで冷え込んでしまう。安倍と文在寅の相性の悪さもあいまって、4年にわたってたなざらしになっていた。
局面が変わったのは、保守派の尹錫悦政権が発足した22年5月。日韓双方の同盟国である米国のモーレツな圧力により、2国間の軍事協力強化のさなかにある。