勢力図に異変…夏の甲子園「番狂わせ」続出の背景に何が?
最近の選手の気質に合わせ、指導法を大きく変えた監督もいる。前出の美山氏がこう言う。
「在籍したOBによると、11年の夏に全国制覇した日大三の小倉全由監督は、怒らないことをモットーに、選手を部屋に呼んでケーキを食べながら話をすることがあるそうです。グラウンドでガミガミ言っても、腐ってしまう子が多いからでしょう。01年に全国優勝した時代の小倉監督は『仁義なき戦い』のビデオを見てからグラウンドへ飛び出し、広島弁で厳しい指導をしていたといいます。最近の選手に合わせ、10年間で指導法を百八十度変えたのです。強豪の都立高校の監督と話をした時、ある選手を指して『あいつは帝京にほぼ決まっていた。でも野球漬けになる度胸がなかったんだよ』と漏らしていた。何十校からも勧誘されるような中学生の有望選手に話を聞くと、『甲子園より必ずレギュラーになれる高校へ行く』と言う子が激増。親は親で、甲子園より大学進学を確約してくれるかなど、要望が変わってきた。もう甲子園常連校というネームバリューだけでは選手は集まらないのです」
龍谷大平安や東海大相模の初戦敗退は決して偶然ではない。これからの甲子園は「名前」や「実績」は参考にならない。