<第19回>拒食症になって半年、復帰直訴の私に長久保先生の反応は…
「このままでは私のスケート人生は終わってしまうのではないか……」
拒食症の克服に動きだして数カ月しか経っていないのに、気持ちは焦ります。
現状をどう打破していけばいいのか。
悩んだ末に、一つの「賭け」に出ようと思いました。それが「仙台の下宿に戻っての再スタート」でした。
名古屋の実家にいても私ができることは少しずつ食べるだけ。家族にも甘えてしまう。それなら一人で自立した生活を送ったほうがいいのではないか。
体重はちょうど35キロを超えた直後。不安もありましたが、何もしないままでは物事は好転しません。今思えば無謀な決断だったかもしれませんが、当時の私はわらにもすがる思い。迷う時間はありませんでした。
「一人で仙台で生活してみる。スケートも始めたい」
不安そうな表情を浮かべる母の姿を横目に、私は03年10月、半年ぶりに東北福祉大のある仙台に戻りました。
何かが改善したわけでもないのに、なぜか少しだけ前向きになれた気がしました。その勢いがあったからでしょう。迷わず長久保先生の元に向かい、「もう一度滑らせてください」と直訴しました。