<第17回>精神科医の言葉に目の前が真っ暗に
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
03年5月。わずか1カ月の間に8キロも体重が落ちた私は、スケートの練習にも支障が出始めました。この頃の体重は40キロ。体は痩せ細るばかりで、ダイエットの域を越えていました。
急激にガリガリになっていく私の異様な姿に長久保(裕)先生をはじめ、大学のスケート関係者も驚くしかありません。練習参加は強制的にストップ。仙台の下宿を離れ、家族のいる自宅で静養することを勧められた私は、大学入学後わずか1カ月で豊橋に戻ることになってしまいました。
久しぶりに再会した母も、変わり果てた私の姿を見るなり絶句しました。それでも当初は、「自宅で元のように過ごせば、数日間で回復するはず」。私も自宅療養すればすぐに復帰できると信じていました。ところが、数日経っても一向に改善の兆候が見られない。それどころか「空腹感」を忘れてしまった私の脳は、ほとんどの食事を拒絶するようになってしまったのです。必然的に体重は35キロ前後にまで減少。成人女性ではありえない数値です。