著者のコラム一覧
鈴木明子プロスケーター、振付師

 1985年3月28日、愛知県生まれ。6歳からスケートをはじめ、15歳で全日本選手権4位。東北福祉大に進学後、一時、摂食障害を患い休養。04年に復帰。10年バンクーバー五輪初出場。13年全日本選手権初優勝。14年ソチ五輪出場。14年3月の世界選手権を最後に現役引退。以後はプロスケーターとして活躍。15年には本郷理華のショートプラグラムで振付師としてデビューした。

<第19回>拒食症になって半年、復帰直訴の私に長久保先生の反応は…

公開日: 更新日:

【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」

 体重が32キロに落ちた03年7月末。母や周囲の理解を得た私は、奇跡的に少しずつ食事が取れるようになりました。

 最初は野菜や豆腐、ヨーグルトばかりでしたが、不満やストレスは感じません。誰も「食事を取りなさい」と強制しませんし、「好きな時に好きな分だけ食べればいい」という気持ちの余裕、安心感があったからです。

 おかげで1カ月に1キロ程度でしたが、徐々に体重も増加。9月末には35キロにまで戻すことができました。

 少しずつ暗闇に光が差し込むと、気持ちは自然とスケートへの意欲に向きます。

 拒食症になってからの半年間、何度か「スケートを滑りたい」と、一人でスケート人生の原点ともいえる名古屋のリンクに向かおうとしたことがありました。でも、電車に乗ったり、長時間歩くことができない。途中まで行っては断念、そして引き返す。この繰り返しでした。半年前まで当たり前のように通っていた私にとって、これ以上つらいことはありません。

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